日々諸々
H21年1月30日登録
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アニメ銀ちゃんおもしろかったです。ヅラが美しくて舞い上がりました。
来週はお休みして新年からは待ちに待ったにゃんこ編。楽しみだ~。
拍手ありがとうございました。どうやらクリスマスまでには終わりそうにはありませんが、最後までなんとか書き続けたいと思います。
それでは小噺へ。続きへどうぞ。
来週はお休みして新年からは待ちに待ったにゃんこ編。楽しみだ~。
拍手ありがとうございました。どうやらクリスマスまでには終わりそうにはありませんが、最後までなんとか書き続けたいと思います。
それでは小噺へ。続きへどうぞ。
ネオンきらめくかぶき町の飲み屋街で道を挟んで睨み合う男が二人。
「貴様ついに糖が頭まで回ったか?」
「てめェこそカマシンクロ率マックスまでいっちまったんじゃねェの?」
片や銀時は頭に角がついた茶色のトナカイのコスチューム。ボンボンのような赤い鼻のオプション付き。
一方桂は白いファーがついた赤い帽子に赤い上着赤いミニスカートに黒いタイツ赤いブーツと、いわゆるミニスカサンタのコスチューム。
二人ともそんなナリをして「クリスマススペシャルサービス。二時間ポッキリ。夢の一時にご案内」などと書かれた看板を持っている。
「仕方ねェだろ。このカッコで呼び込みをやれば報酬をはずんでくれるってオーナーが言ったンだよ」
「俺とて同じだ。みにすかさんたになれば給料をいつもの二倍出すと言われてな」
偶然にも向かい合わせのキャバクラで、呼び込みの仕事をすることになった銀時と桂。
「ふん。俺の呼び込み歴を舐めるでないぞ。ぽっと出の貴様には負けん」
「ナニ言っちゃってくれてンの。俺の器用さを知らねェワケじゃあるめェ。万事屋はなその気ンなればナニにだってなれるンだよ」
牽制し合いばちばちと火花を散らす。
「それでは競争だな銀時。どちらがより多くのお客を呼び込めるか勝負だ」
「望むところよ」
「後で吠え面かくなよ」
「そのセリフそのままバットで打ち返してやらァ」
お互いきらんと目を光らせると道行く人たちを熱心に勧誘し始めた。
今日はクリスマスイブ。家族や友人、恋人同士でクリスマスパーティーを開けるものは良いが、生憎そんな予定がない者たちもいる。そんな連中が飲み屋で過ごそうと繰り出してきている。
銀時の方にはトナカイコスが大受けに受けて若い連中が店に入り、桂のほうは見かけはかわいい女の子のミニスカサンタ姿におじさんたちが騙されていた。
ひとしきり呼び込みをして声の出しすぎで喉がいがいがしてきた頃、ミニスカ姿の桂がすっと近寄ってきた。上着のポケットを探るとほらと言ってお茶の缶を渡してくれた。
「お。サンキュー。さすがに年季が入ってるね。用意のイイこと」
「当たり前だ。だから見くびるなと言うたのだ」
二人並んでお茶の缶を傾ける。暖かいお茶が喉を潤し冷えた体もほんのり温めてくれた。
「それにしてもこんな夜にまで仕事とはな。くりすますを共に過ごしてくれるおなごの一人もおらんのかおまえは」
「うっせーよ。俺を誰だと思ってンだ。誘ってくれた女の一人くらいいましたよー。でも仕事を優先したんですー」
ただし十三歳の小娘だけどねと胸の中で付け加えた。
「てめェこそクリスマスイブに党首自らバイトするなんて、攘夷党の未来も危ういンじゃねェの?」
「何を言うか。家族のある者は家族と過ごすのがくりすますというもの。それに日頃良く働いてくれる党の皆に、餅代くらい出してやりたいではないか。だから俺がバイトをするのは当然のことだ」
そう言ってから桂は何かに気がついたように目を見張った。
「家族と言えばおまえにはリーダーがいるではないか。くりすますぱーてぃーをしてやらなくても良いのか?」
とたんに銀時が苦虫を噛み潰したような顔になった。
「しょうがねェだろ。稼がなきゃ年越しできねェンだからよ」
「ということはリーダーはぱーてぃーをやりたいと言っていたのだな?」
「言ってはきたけどな。今日も明日も仕事入れちまってるからムリって言った」
それを聞いて桂は思案顔になった。
「なんだよ。アイツのワガママ聞いてやりゃ良かったのにってか?」
「否、そうではない。そうではないぞ。第一リーダーは我侭を言うような娘ではないだろう」
確かに。神楽は横暴なことは言っても我侭なことは言わない。幼い頃から苦労して育ったせいか、その辺りは同じ年頃の子供よりもずっと大人びている。どこかへ連れて行けとせがんだり、何かを買ってくれとねだることもしない。ねだるのは酢昆布くらいだ。
「おめェ天人嫌いだろ? クリスマスは天人が持ち込んだイベントだぞ。それをやれやれって言うのはおめェらしくねェじゃん」
「今は全ての天人を嫌っているわけではない。リーダーのことは好きだぞ。とても可愛いと思っている。だからくりすますぱーてぃーをやりたいと言ったリーダーの気持ちを尊重してやりたいし、一方で仕事をしなければならぬおまえの事情もわかる」
神楽の希望を聞き入れず、仕事を優先した銀時を詰っているわけではないのだ。
「ただこんな日に、一人で留守番をしているのかと思うといじらしく思えてな…」
神楽はあれからクリスマスパーティーのことは一言も口に出さなかった。
夜の仕事に出かけるために慌しく夕飯を食べている時に、新八と神楽はクリスマスケーキの売り子の仕事から帰ってきた。それとなく新八に神楽の様子を聞いたが、彼女は黙々と仕事をこなしていたらしい。それからも神楽は一切クリスマスのことには触れず普段どおりに過ごしていて、留守番を頼み銀時はばたばたと呼び込みの仕事に出かけてきてしまった。
桂と話しているうちに神楽が哀れに思えてきた。
「仕方ねェよな…」
銀時はふっと小さく溜息をついた。
続く
「貴様ついに糖が頭まで回ったか?」
「てめェこそカマシンクロ率マックスまでいっちまったんじゃねェの?」
片や銀時は頭に角がついた茶色のトナカイのコスチューム。ボンボンのような赤い鼻のオプション付き。
一方桂は白いファーがついた赤い帽子に赤い上着赤いミニスカートに黒いタイツ赤いブーツと、いわゆるミニスカサンタのコスチューム。
二人ともそんなナリをして「クリスマススペシャルサービス。二時間ポッキリ。夢の一時にご案内」などと書かれた看板を持っている。
「仕方ねェだろ。このカッコで呼び込みをやれば報酬をはずんでくれるってオーナーが言ったンだよ」
「俺とて同じだ。みにすかさんたになれば給料をいつもの二倍出すと言われてな」
偶然にも向かい合わせのキャバクラで、呼び込みの仕事をすることになった銀時と桂。
「ふん。俺の呼び込み歴を舐めるでないぞ。ぽっと出の貴様には負けん」
「ナニ言っちゃってくれてンの。俺の器用さを知らねェワケじゃあるめェ。万事屋はなその気ンなればナニにだってなれるンだよ」
牽制し合いばちばちと火花を散らす。
「それでは競争だな銀時。どちらがより多くのお客を呼び込めるか勝負だ」
「望むところよ」
「後で吠え面かくなよ」
「そのセリフそのままバットで打ち返してやらァ」
お互いきらんと目を光らせると道行く人たちを熱心に勧誘し始めた。
今日はクリスマスイブ。家族や友人、恋人同士でクリスマスパーティーを開けるものは良いが、生憎そんな予定がない者たちもいる。そんな連中が飲み屋で過ごそうと繰り出してきている。
銀時の方にはトナカイコスが大受けに受けて若い連中が店に入り、桂のほうは見かけはかわいい女の子のミニスカサンタ姿におじさんたちが騙されていた。
ひとしきり呼び込みをして声の出しすぎで喉がいがいがしてきた頃、ミニスカ姿の桂がすっと近寄ってきた。上着のポケットを探るとほらと言ってお茶の缶を渡してくれた。
「お。サンキュー。さすがに年季が入ってるね。用意のイイこと」
「当たり前だ。だから見くびるなと言うたのだ」
二人並んでお茶の缶を傾ける。暖かいお茶が喉を潤し冷えた体もほんのり温めてくれた。
「それにしてもこんな夜にまで仕事とはな。くりすますを共に過ごしてくれるおなごの一人もおらんのかおまえは」
「うっせーよ。俺を誰だと思ってンだ。誘ってくれた女の一人くらいいましたよー。でも仕事を優先したんですー」
ただし十三歳の小娘だけどねと胸の中で付け加えた。
「てめェこそクリスマスイブに党首自らバイトするなんて、攘夷党の未来も危ういンじゃねェの?」
「何を言うか。家族のある者は家族と過ごすのがくりすますというもの。それに日頃良く働いてくれる党の皆に、餅代くらい出してやりたいではないか。だから俺がバイトをするのは当然のことだ」
そう言ってから桂は何かに気がついたように目を見張った。
「家族と言えばおまえにはリーダーがいるではないか。くりすますぱーてぃーをしてやらなくても良いのか?」
とたんに銀時が苦虫を噛み潰したような顔になった。
「しょうがねェだろ。稼がなきゃ年越しできねェンだからよ」
「ということはリーダーはぱーてぃーをやりたいと言っていたのだな?」
「言ってはきたけどな。今日も明日も仕事入れちまってるからムリって言った」
それを聞いて桂は思案顔になった。
「なんだよ。アイツのワガママ聞いてやりゃ良かったのにってか?」
「否、そうではない。そうではないぞ。第一リーダーは我侭を言うような娘ではないだろう」
確かに。神楽は横暴なことは言っても我侭なことは言わない。幼い頃から苦労して育ったせいか、その辺りは同じ年頃の子供よりもずっと大人びている。どこかへ連れて行けとせがんだり、何かを買ってくれとねだることもしない。ねだるのは酢昆布くらいだ。
「おめェ天人嫌いだろ? クリスマスは天人が持ち込んだイベントだぞ。それをやれやれって言うのはおめェらしくねェじゃん」
「今は全ての天人を嫌っているわけではない。リーダーのことは好きだぞ。とても可愛いと思っている。だからくりすますぱーてぃーをやりたいと言ったリーダーの気持ちを尊重してやりたいし、一方で仕事をしなければならぬおまえの事情もわかる」
神楽の希望を聞き入れず、仕事を優先した銀時を詰っているわけではないのだ。
「ただこんな日に、一人で留守番をしているのかと思うといじらしく思えてな…」
神楽はあれからクリスマスパーティーのことは一言も口に出さなかった。
夜の仕事に出かけるために慌しく夕飯を食べている時に、新八と神楽はクリスマスケーキの売り子の仕事から帰ってきた。それとなく新八に神楽の様子を聞いたが、彼女は黙々と仕事をこなしていたらしい。それからも神楽は一切クリスマスのことには触れず普段どおりに過ごしていて、留守番を頼み銀時はばたばたと呼び込みの仕事に出かけてきてしまった。
桂と話しているうちに神楽が哀れに思えてきた。
「仕方ねェよな…」
銀時はふっと小さく溜息をついた。
続く
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