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小噺の前に、ビッグなニュースが!!!

今日はきちんと録画できていたので、ツッキーの酒乱っぷりと銀ちゃんの

やられっぷりに笑って、銀ちゃんの周りにいる女性はみんなイイ女なのに

どうして凶暴なのか? 凶暴だからイイ雰囲気になってもそれ以上進まな

い、色っぽい関係にならないのかと考えてみたり。色っぽい関係はヅラが

いるからいいんだと納得してみたり。

それで来週の話はなんだろうとぼんやり予告を待っていたら、いつか見た

事のある映像が! おおおこれはと一気にテンション上がりました。

ちらりほらりと映画化の情報を目にしていましたが、今日テレビでババン

と告知するとは。来年のGWが本当に楽しみになってきました。


本日冒頭、先週(動画サイトで見たよ)ラストの全蔵さんの言葉に返す銀

ちゃんが切なかったので小噺です。続きへどうぞ。


拍手ありがとうございました。いつも嬉しく受け取らせていただいていま

す。本当にありがたいです。






賑々しいネオンに惹かれてふらりと町に出た。片袖抜いて懐手。いつもと

変わらぬ気だるげな足取りで夜の町を歩く。普段と違うところがあるとす

れば、体のそこここに巻かれた包帯。

『静かに養生できるようにって神楽ちゃんも定春も僕のうちに連れて行く

んですからね。誰もいないのを良いことにパチンコに行ったり飲みに行っ

たりしないでくださいよ。大人しく家にいて下さい』

釘を刺した新八にはへーへーと生返事をしておいた。

怪我してるからってウチに閉じこもってちゃ辛気臭くていけねェ。だいた

い大人しくしてりゃぁ早く治るってモンでもねェし。イヤ治るのか?

この際どっちでもいいや。せっかくこうるさいガキも犬もいねェンだから

飲みにいかないって手はないでしょう。

吉原から入った報酬でいつもよりは懐も暖かい。馴染みの居酒屋で飲んで

食ってそれでこの胸の中のモヤモヤが少しでも晴れてくれればいい。

たらたらと歩いていたらやや前方に良く見知った後姿を見つけた。黒くて

長い髪。白い羽織に藍の着物。人ごみの中をのほほんと歩いている第一級

指名手配犯。

良い拾いモンをしたと小走りに近づいた。気配を察したのか振り向こうと

した黒い頭をスパーンとはたいてやる。

「ヅラめーっけ!!」

「ヅラじゃない! 桂だ! …ってなんだ銀時ではないか」

桂ははたかれた頭をこしこし擦りながら言った。

「おめェ今ヒマ? ヒマなんだろ? 俺もヒマなンだよ。だから付き合

え」

「何故俺が暇だと決め付けるのだ。俺は今日一日所用で駆けずり回り、よ

うやく帰るところなのだぞ」

「所用ったってジョーイの会合とかジョーイの密談とかジョーイの計画と

かそンなンでしょ? だったらヒマじゃん」

「何を言うか。俺達は天下国家のことを真剣に案じてだな…」

そこで言葉を切り銀時の姿をしげしげと見た桂は目を細めた。

「……大事ないか? 銀時」

たった一言に全てが詰まっていることはわかっている。

ある男の悲しい半生と彼が起こした騒動。それに万事屋が関わり銀時が大

怪我をしたこと。そんなことは承知なのだ。

「たいしたことねェよ。だから飲みに行こうぜ」

「酒は怪我に触るぞ。これ以上頭がパーになったらどうするのだ。何もか

もが使い物にならなくなるぞ」

「いろんなところが壊れかけてるてめェに言われたくねェよ」

「ふががっ」

憎まれ口を利く桂のちんまりした鼻を思いっきり摘んでやった。



馴染みの狭い居酒屋に二人並んで席を取った。差しつ差されつしながら

段々に酔いが回ってくる。

「吉原の救世主か。つくづく二つ名に縁のある男だな」

「てめェだって人のこと言ェねェだろ」

狂乱の貴公子、攘夷の暁、他にもまだあるンじゃねェの?

「それで? 太夫の一人に惚れられたそうではないか」

「はァ?」

「死神太夫と名を取る吉原でもとびきりの良きおなごだそうだな」

ああ月詠のこと、と言って酒をくいっと呷る。

「そうだ。その月詠殿のことだ」

空になった銀時のぐい飲みに酒を注ぎ足す。

「ナニナニ? ヅラ君妬いてンの?」

「ヅラ君じゃない。桂だ。それに妬いてもおらぬ」

ニヤニヤと締まりのない顔で聞いてくるので、頬を両側から引っ張ってや

った。

「イデデデ」

こンの馬鹿力がと文句を言いながら、お返しに頭を引っぱたく。

「惚れた腫れたなンてこたァありませんよー。ありゃァ俺には過ぎた女

だ」

「ほう。貴様がそこまで言うならやはり良きおなごなのだな。その月詠殿

は」

「イイ女だよ。アイツァイイ女だ。ほっせー肩にいろんなモン乗っけてや

がる。吉原、女達の生き様や想い、それから…」

くっと言いよどんだ。

「それから…一度はてめェを裏切った師匠までも…」

銀時は苦いものを呷るように酒を流し込んだ。

「蜘蛛手の地雷亜…。鳶田段蔵か…」

桂が静かな声で言った。

ああやっぱりこいつは全部知ってやがるんだと思った。

「地雷亜は救われたはずだ…。手塩にかけて育てた愛弟子に殺されること

じゃなくって、ソイツがてめェを背負ってくれたことに救われたんだ…」

「歪んではいたが、月詠殿のことを弟子として愛していたのであろうな。

そして月詠殿は師匠の背中を追って真っ直ぐに成長したのだ」

「ンだな…」

一人頑なに生きてきた地雷亜が、人と分け合う喜びを知ったのは死の際で

だった。最愛の弟子に負われて静かに息を引き取った。

「月詠はてェしたヤツだ。師匠を背負えるまでデカクなったンだ。それに

引き換え俺はよ…」

背に負うべき師匠はもういない。

何も知らず何もわからなかった幼い自分を背負い、人としての道を指し示

してくれた師匠は落命してしまった。与えてもらうばかりで返すことも背

負うことも追い越すことも、もうできない。

それは銀時のせいではない。時代の大きな流れが師匠を奪い去った。それ

でももどかしいのだ。胸の辺りがもやもして苦しいのだ。

「案ずるな銀時」

胸中を覗いたかのように桂が言った。

「おまえもきちんと背負うておる」

「なに言ってンだ。先生はもういねェんだぞ」

桂が体ごと銀時のほうを向いた。優しい目つきで見やる桂。

「おまえは先生の教えを先生の想いを片時も忘れたことはないであろう?

真っ直ぐな魂を持ちそれを護り続ける。己を護る為ではない。魂を護る為

に剣を振るう。おまえはそうしているではないか。それが松陽先生を背負

うことのできる弟子になれたということだと俺は思う」

「ヅラ…」

バカでウザくて電波なこの腐れ縁の幼馴染みは。どうしてこんなにも弱っ

た心に聡いのだろう。そしてどうしてその時一番欲しいと思っている言葉

をくれるのだろう。

「俺もそうありたいと思っている。今までもこれからも…」

微かに笑みを浮かべて桂は口を結んだ。

「俺がそうだってンならてめェもそうだよ」

昔と変わらない、真っ直ぐな目で真っ直ぐな魂で真っ直ぐに己の道を行

く。

「てめェも立派に師匠を背負ってやがる」

視線を落としてぽつりと呟いた。手元のぐい飲みが滲んで見えた。


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