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5/16、5/27に書いた小噺の続きです。(父上と小助の話)


拍手ありがとうございました。続きもがんばります。




会合が長引いたため、万事屋に戻ってこれたのはとっぷりと日が暮れて

からだった。

夕方までには帰ェって来るって言ったじゃねェか今何時だと思ってんだコ

ルァと思いっきり文句を言われながら居間へ行ってみると、神楽と小助が

頭をつき合わせるようにして長椅子でうたた寝をしていた。

「飯も風呂も済ませといてやったぞ。とっとと連れて…」

「すまないな銀時。すまないついでに今夜は泊めてもらえぬだろうか」

「ハイィィ?」

とっとと連れて帰ェれと言おうとしたのに。

「お眠になっている子供を連れ歩くのは忍びない。今夜はこのまま泊め

てくれ」

「ったくよォ。てめェはなんだってそうやって面倒ばっか押し付けるんだよ」

「面倒などかけぬ。寝かせてもらえるなら長椅子でも良いぞ」

銀時は眉間に皺を寄せて小助を眺めた。神楽に寄り添って寝ている小助は

確かにいとけなくて、無理やり起こして夜道を歩かせるのはさすがにかわ

いそうかと思った。

「わーったよ。泊めてやるよ。ついでに布団も使わせてやる」

「さすが銀時。そう言ってくれると思っていた」

大袈裟に溜息をついて言う銀時とぱああっと晴れやかな顔になって答え

る桂。

「そんかわりてめェに貸し一だかンな」

「わかった。俺にできることならなんでもしよう」

「その言葉忘れンなよ」

「武士に二言はない」

「良し」

にへらとタチの良くない笑みを浮かべたら、眉を寄せて怪訝そうな顔をさ

れた。

桂を風呂に追いやって和室に布団を敷きにいく。神楽を寝床へ行かせ、小

助は桂に任せれば良いとそのまま長椅子に寝かせておいた。





「小助。小助。銀時が布団を敷いてくれた。場所を移るから起きてく

れ」

小さな体を揺すってそっと呼びかけると、ぐっすり眠っていると思われた

小助はぱちりと目を開けた。

「起こしてすまないな。今夜は万事屋に泊まることになった。向こうの

部屋で休もう」

「父上もいっしょに寝てくれるのか?」

「もちろん父もいっしょだ」

手と手を取り合って和室に向かう自称父と子を見やって銀時は今日何度目

かのうんざりした溜息をついた。

(アイツ父性っつーか母性がバリバリ目覚めちゃってるンですケド)

もともと世話好きでめんどうみたがりな桂だ。幼い子供に父上父上と慕

われてすっかりその気になってしまっている。

(オメーは父でも母でもなくて、俺のナニだろーがよっ)

あーオモシロクねェとふてくされる。得たいの知れない子供に桂を取られ

たような気がして非常に気分が悪い。これでもう少し可愛げのある子供だ

ったらまだしも、あの小助はどうにも銀時が気に入らないようで、新八や

神楽に対しては年相応に子供らしく振舞うのに、銀時にだけは敵意むき出

しで、口を利くときもけんか腰なのだ。

(な~んかそんなとこまで高杉に似てね?)

桂の傍にいる銀時に焼きもちを焼いては事あるごとに突っかかってきた年

下の幼馴染みを思い出す。

襖の向こうは静かだ。それがなんだか気になる。そろそろと襖に近づいて

そっと開けてみると、二組敷かれた布団の片方に二人は横になっていた。

懐に抱くようにして小助に添寝して、優しくその背を叩いている桂。向こ

うを向いているし体は布団に包まっているしで、長い髪しか見えないので

本当に子供を寝かしつける母親のようだ。

銀時は布団に近づくと桂の隣にゴロリと転がった。そして袖をちょいちょ

いと引く。

「なあガキ寝かせたらあっちで飲まねェ?」

ひそりと誘いをかけたら、返答があるより先に小さな体がガバリと起き上

がった。

「どわッッ?」

「小助?」

寝ているとばかり思っていた小助が跳ね起きたので、大人二人は驚いた。

「父上から離れろ。おまえはあっちへ行け」

ぎっと睨みつけて憎たらしいことを言うのでムカっ腹が立った。

「てめェ。ナニ様だと思ってやがるンだ。これは俺ンちの布団だぞ。気に

入らねェンならてめェがあっちへ行きやがれ」

「こら銀時。子供相手に大人気ない」

「コイツがあんまり子憎たらしいから」

桂が嗜め銀時が言い返しているうちに、小助は立ち上がり布団の端を回る

と銀時と桂の間に潜り込んだ。そして銀時を一にらみするとふんっとばか

りに背を向けて、桂の着物の袖にかじりついた。

(なんなのコレ? 牽制ですか? 俺がヅラにくっつかねェように身を挺

して阻止ですか?)

あーこれも覚えがあるわと思う。子供の頃に誰かの家に三人で泊まること

になった時、銀時を桂の隣に寝かせたくなかった高杉は、必ず二人の間に

入って寝たものだった。銀時も高杉のぼっちゃん刈りにした頭よりも、良

い匂いのする長い髪やふっさりと伏せられた睫を見ながら眠りにつきたか

ったが、子供じみた焼きもちをいなすだけの余裕もあったので、高杉のし

たいようにさせていた。

(なんだかバカバカしくなっちまったい)

二人に背を向けると腕を枕に寝の体勢。

小助は甘えんぼだなあよしよしとのん気にあやす声がきこえてきて、俺を

あやす手はないのかと不貞腐れた。




後もう一話で終われると思います。

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