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明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

ということで、三が日も本日で終わり。三日間これという特別な事も無く、普段通りいつも通りのお正月を過ごしました。コレと言える物があれば、一日に地震があったことでしょうか。ちょど某大型量販店にいて、ぐらっと来ました。商品が高く積まれた棚の間にいましたので恐かったです。商品も落ちていたし、揺れに合わせて鳴る棚のがしゃがしゃ言う音が不気味。昨年三月の地震を忘れるなよと言うことかなと思いました。

今年もゆっくりではありますが、話を書き連ねていこうと思っています。筆慣らしに軽く小噺でも。続きへどうぞ。


拍手ありがとうございました。今年もがんばりまっす。






正月元旦だというのに気分が弾まないのは桂がいないせい。桂が新年の挨拶に来ないせい。桂がかぶき町に、ひいては江戸にいないせい。


銀時は手に持ったはがきを見て溜息をついた。数えれば七枚。差出人は全て同じ。桂からの物だ。

「なんなのコレ? なんで七枚も送ってくるワケ? それもみんな年賀状ってどういうコト?」

七枚のはがきには全て『明けましておめでとうございます』と書かれている。すべて銀時宛に。

「七枚も年賀状送ってくる暇があるんなら会いに来いや。ったく空気読めねェ電波バカが」

悪態はついてもそこは連れ合いからの年賀状。無下に扱う事もできずに既に眺めつくしたはがきをもう一度一枚目から見る。明けましておめでとうに続く文言ははがきによって少しずつ違う。はがきも年賀葉書だったり絵はがきだったりしている。桂がはがきを書いた場所が都度都度違うからだ。

桂は今江戸にいない。十二月の半ばからずっといない。地方の攘夷党の支部を回っているのだ。帰ってくるのは一月半ばと聞いている。長く江戸を離れる時は桂は必ず銀時にそれを言い置いていく。行方不明になったのではないかといらぬ心配をさせないために。だから今回もいつものように桂は律儀に万事屋を訪ねて年末年始にいないことを告げていった。銀時もいつものように「あっそう」と言って桂を見送った。攘夷のことは我関せずなので素っ気無く実に素っ気無く。しかし桂が本当に江戸を旅立ってから、どうして止めなかったのかと猛烈に後悔した。だって十二月の半ばからは行事が目白押しではないか。クリスマスだって大晦日だって新年だってやってくる。それをそれらの全てを桂無しで過ごせというのか。そう思ったらいてもたってもいられなくなって、桂の家に押し掛けてみたが既に桂は江戸を出た後だった。

別にクリスマスだからはしゃぐ訳ではない。大晦日だって新年だって神楽と新八と過ごせば良い訳で。桂がいなくたって日々は過ぎていく。でも江戸で再会してからクリスマスも大晦日もなんやかんやと一緒に過ごしていた。新年だって必ず挨拶に来てくれた。それが通例になっていたから、桂無しの年末年始を過ごすことになるなんて思わなかった。それがこんなに寂しいとは思わなかった。

「ったくよォ。こんなはがきで誤魔化そうったってそうはいかねェよ。だいたいなんだよこのはがき。年賀状っつかアイツの旅日記じゃねェか。っつか七枚も書くなら手紙にしろよ」

桂は地方を転々としているらしく、違う場所の絵はがきが三枚ある。そしてはがきにもその場所の特色なんかがしたためてあって、年賀状というよりも旅の報告のようだ。

「こんなの七枚じゃなくってよ。おめェが一人来てくれればそれでいいのによ」

桂が七枚も年賀状を送ってきた理由はわかっている。自分の不在の埋め合わせをしているのだ。だから日記のようにその日その場所であったことをはがきに書いて寄越しているのだ。離れていても自分の居場所、何をしているのかを知らせるために。離れていてもいつも銀時のことを気にかけているのだと知らせるために。

最後に書かれたと思しきはがきには、帰る日の予定と土産を楽しみにしていてくれとあった。帰る日までまだ二週間もある。

「いつもはいいンだよ。いつもは。今までだって一月二月いなかったことはあるんだからさ。でも時期が悪ィだろ時期が」

クリスマスや年末年始を一緒に過ごしたかったと言ったらおめェは笑うか? 今更何を言うかと笑うか? おまえがいない日々を俺は何年も過ごしたぞと言って笑うか?

「わーってるよ。おめェが江戸にいねェのは俺への意趣返しじゃねェッてのは。でももしかしてそうなのかなって気にしちまうじゃねェか」

もう黙っておめェの前からいなくなったりしないから。早く帰ってきて安心させてくれよヅラ。そんな風に気を揉んでたって知ったなら、仕方のないやつだと困ったように笑うのだろうけれど。どんな顔でも良いから見たいんだよ。

「早く帰ェッて来いよヅラ。明けましておめでとうも言えやしねェじゃねェか。帰ェッて来るころには明けましても暮れましてもなくなってンじゃねェか」

こんなにも深く彼は自分の心に根ざしている。彼がいないせいで心が揺れている。それは自分が彼に与えた喪失よりもずっと軽いもののはずなのに。彼は戻ってくるとわかっているのに、胸のざわめきが取れない。




新年からちょっと暗い話になってしまいました。銀ちゃんはきなきなお悩み中。でもヅラはケロっとした顔で土産を持って万事屋に来るんですよ。






















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