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ぷちきゃらランドautumn&winter?が発売されまして、私も銀ちゃんとヅラを単品買いしました。お値段は少々張りましたが。

ミイラ男銀ちゃんの足元にはマーブルチョコレート、サンタコスヅラはほっぺにケーキのクリームが点々とついていて、両方とも撫で撫でしたいくらい可愛いです。

GEMヅラといいぷちきゃらといい、フィギュア好きの心をくすぐる商品が続々と発売。12月にはまた小さいフィギュアが出るんですよね。ヅラもラインアップされてるからまた買うことになりそうです。

ということでぷちきゃらランドから小噺です。続きへどうぞ。




「オーイ。神楽よォ。ホントに行くのかよ? 仮装大会」
「銀ちゃん。ナニ言ってるネ。仮装大会じゃなくてハロウィンパーティーネ」
「だァかァらァ。そのハロウィン祭りってのに行くために仮装するンだろ?」
「そうアル。ハロウィンはオバケの格好をして歩くアル。クリスマスと並んで子供にとっては楽しいイベントネ」
「ガキにとってはだろ」

はあ~ぁと銀時は溜息をついた。

商店街の親父連中がまた何か思いついたらしく、今年は商店街でハロウィンの仮装大会をすることになった。オバケの格好をしてくれば、商品が二割引きになった上にお菓子のおまけがついてくる。商店街を活気付かせようという親父達の魂胆だ。

「もともとハロウィンはガキの祭りだろ? だったらおめェと新八で行ってくればいいじゃん」
「でも私お金持ってないモン。ほしい物があったら銀ちゃんに買ってもらわなくちゃならないアル」

俺は財布かとまた溜息。

「イイからイイから。早くミイラ男のコスをするヨロシ。包帯ぐるぐる巻くだけだから簡単アルヨ」

へいへいと返事をして渡された包帯を頭から顔から体にぐるぐる巻きつけた。

「おめェはナンなワケ?」

せっせと仮装の準備をしている神楽に声をかけた。

「見てわからないアルか? 魔女よ。ほら黒いワンピースに黒い帽子。髪飾りも今日は黒ネ。どっからどう見てもカワイイ魔女よ」

そう思うデショ銀ちゃんと聞かれて、銀時は面倒くさそうにはいはいと返事をした。でも手に酢昆布持ってるのはどういうことだ。菓子貰いに行く前に菓子をもってるなんて。それを指摘すると、酢昆布は魔女の重要な持ち物ネと返された。これが魔法の杖ネおまえを鼠に変えてやろうか~とノリノリな神楽。わかったわかったと軽くいなして包帯巻きにいそしむ。

「こんなモンでいいかァ?」

包帯を巻きつけた銀時が神楽に聞く。

「うん。巻き具合はそんなモンでいいアルよ。ミイラ男的な感じがするアル。元々目もどんよりしてるからオバケに見えるし。だけど迫力が今一つアルな」

元々目もどんよりってどーいうことだと文句を言う傍で、うーんと考えた神楽はパンと手を打った。

「血ィアルよ。口から血を流せば完璧ネ」

事務机の上のペン立てから赤いマジックを持ってくるとキャップを取った。

「オイオイ。カンベンしてくれよ。ンなモン顔に書くのかよ」
「そうアル。万事屋はリアリティーを追求するネ。コレを書かなきゃ銀ちゃんは完璧なミイラ男になれないネ」
「やだよ。それ油性ペンじゃねェか」
洗えば落ちるからと説き伏せられて、銀時はしぶしぶ神楽に従った。口の左端から血が垂れているように赤いマジックで線を書く。

「イイアル。とってもイイ感じアル。かぶき町一のミイラ男ネ」

銀時は洗面所に行って自分の顔を見た。確かにリアリティーは追求できたようだ。

「俺がミイラ男、おめェが魔女。ンで新八はなんだ?」

そう言うとざっと和室の襖が開いた。

「神楽ちゃん。コレなんだよ。なんで僕だけ全身白タイツなんだよ。コレどういうオバケなんだよ」
「わからないアルか? とろいヤツアルなおまえは。だから新一じゃなくて新八言われるネ。おまえはふきでものアル」
「またかいィィィィッッッ!!!」

さも当然と言われて新八は叫んだ。

「ふきでものはレディにとってとても恐い物ネ。恐い物はオバケアル。だからハロウィンアル」

あああなんで僕はまたふきでものなんだと項垂れる新八の肩を、銀時はぽんぽんと叩く。

「似合ってるよ新八君。おめェはふきでものそのものだ。おめェ以上にふきでものが似合うヤツはいるめェよ。かぶき町、いや、江戸一番のふきでものだ」
「そんな褒められ方したって嬉しくもなんともありません」

そろそろ行くかと、新八の抗議は無視して万事屋一行はハロウィンパーティーに出かけた。





「結構な人出ですねィ。江戸っ子は祭り好きなんですねェ」

獣の耳と尻尾をつけて狼男になった沖田が周りを見回しながら言う。その沖田は何故か首輪がついた鎖を持っている。

「ハロウィンは日本じゃ珍しいからな。珍しモン好きなヤツらが多いんだろうよ」

答えた土方はジャックオーランタンの仮装をしている。カボチャの蓋を帽子のように被り、恐い顔にくりぬいたカボチャをパンツのように履いている。

「珍しいモンといやァ土方さんもまた随分と珍妙な格好で。そのナリでストローでマヨネーズを啜っているんですから、オバケというより最早珍獣でさァ」
「っるっせーんだよてめェは。このアンバランスさが恐さを表現してンだよ。てめェこそなんだ。首輪なんか持ち歩きやがって。こんなとこにもサドっ気出さねェと気がすまねェのか」
「コイツァ俺の大切なアイテムでさァ。土方さんが迷子になりそうになったらこれでとっ捕まえようと思いやしてね」
「俺の為エェェェェ?」

真選組の土方と沖田もオバケの格好をして商店街を歩いてはいるが、彼らはパーティーに参加しているのではなく警邏をしているのだ。パーティーで事件や事故が起こらないようにと見回りの仕事中。でもせっかくの楽しいイベントにいつもの制服で歩き回っていたら、興がそがれるという近藤の発案でオバケコスをすることになった。他にもオバケの格好をした隊士が警邏をしている。


「あ。マヨとサドネ」

万事屋と真選組二人が遭遇した。ハロウィンコスをしている二人を見て、銀時はあからさまにおかしそうな顔をし、土方は会いたくないヤツらにあったと露骨に嫌な顔をした。

「お二人揃ってハロウィンパーティーに参加ですか。おまわりサンってのは暇でいいですねコノヤロー。この税金泥棒め」
「ちょっおまっ! 何言ってんだ。馬鹿な事言ってんじゃねェ」

銀時の嫌味に食ってかかる土方。

「俺達はパーティーに参加してるんじゃねェ。警邏してるんだよ。仕事中だ」
「ハアァ~? そんなナリでェ?」

疑わしそうな顔をする銀時を、まあまあ旦那俺達の立場もわかってくだせえよと沖田がとりなした。

「せっかくの華やかなイベントですぜィ。むさい隊服で見回りをしてたら無粋ってモンでさァ。だからハロウィンに溶け込めるオバケの格好をしてるんですよ」
「ふーん。じゃあゴリラもなんかのコスしてるワケ?」
「近藤さんはフランケンシュタインになってる」

土方がむすっと答えた。

「その格好のままスナックすまいるに行っちまいましたがね。今頃姉さんたちに袋叩きに合ってるんじゃねェですかィ?」
「やっぱ。遊んでるんじゃねーか」

近藤も相変わらず懲りないヤツだと思った。

「チャイナは魔女コスかィ。似合ってるじゃねーか。いつもの倍増しでガキに見えらァ」
「なにを~。おまえこそ耳と尻尾生やして萌え~とか思ってンじゃないだろな」

いつの間にか神楽と沖田がバチバチと火花を散らしていた。

「おめェはミイラ男か。あんまり工夫がねェな。ただ包帯巻きつけただけじゃねえか。安直だな」
「ナニ言っちゃってくれてンのかな大串君は。この口を見てみなさい。血が垂れてるよ。血だよコレ。コレがチャームポイントだよ」

なーにがチャームポイントだバカがそれに俺は大串じゃねェと言い返す。

「それでメガネのコスはと…」

自分に話が振られたので新八はささっと銀時の後に隠れた。全身白タイツなんて恥ずかしくて見られたくない。

「メガネはふきでものだな」
「エエエエエッッッッッ!!!」

言い当てられた新八が驚く。

「じゃあな。俺達は忙しいんだ。てめェらに構ってる暇はねェ。行くぞ総悟」

土方は歩き出し沖田もへいへいと返事をして後に続く。

「なんで僕がふきでものだってわかったんだろう?」

二人を見送りながら新八がぽつり。

「そりゃあ誰が見たって新八君はふきでものだってわかるよ。立派なふきでものだよ」
「立派なふきでものってなんだアァァァァァァァ」

新八の叫び声が商店街に響いた。

「真選組の皆さんまでハロウィンコスしてるなんて。でも土方さんと沖田さんは本質は変わってなかったですね」

気を取り直して言う新八。マヨはマヨネーズを、サドは首輪つきの鎖を持ち歩いていた。

「ついでに言えばゴリラもな。アイツならコスしなくてもまんまフランケンシュタインでいいんじゃねーか?」

スナックすまいるでの惨状を思い描いて新八は力なく笑った。





それから三人は商店を冷やかし神楽は駄菓子屋で酢昆布を買って、新八は文房具屋で便箋と筆を買い、銀時は和菓子屋で饅頭を買った。ハロウィン企画ということで代金は通常の二割引き。そして必ずおまけに菓子がついてきた。飴だったりチョコだったりと小さな菓子だがなんとなく嬉しい。八百屋ではかぼちゃの大安売りをしていたので二個買って、おまけにかぼちゃ饅頭を人数分もらって、そろそろ帰ろうかというころだった。

大江戸銭湯の周りに人だかりができていた。早速神楽が興味を示してそちらに走っていく。銀ちゃんも速くとひきずられて銭湯の前に来た。みんな何をしているかと思えば上を向いている。

「なんだあ?」

なんと銭湯の屋根の上の煙突に人がしがみついていた。人々は口々に危ないとか落ちたら大変だとか泥棒じゃないか警察を呼んだ方が良いんじゃないかと言っている。

銀時が目を凝らしてよーく見ると、赤い帽子を被って赤い上下の服を着て白い袋を担いだ人物がよじよじと煙突を登っていく。しかも片手に何か持っているらしくいかにも登りにくそうで、落ちるんじゃないかとこっちがはらはらする。

「なんでしょう? 銀さん。あの人何やってるんでしょう」
「俺に聞かれたってわかんねーよ。ハロウィンに浮かれたバカがバカなことやってンじゃねェの?」

そこで煙突を登っている人物がバランスを崩した。ぐらりと体が揺れて人々から悲鳴が上がる。バランスを崩したせいで顔が下を向いた。

「あ、あれ? あれってもしかして…」
「ヅラアル。ヅラが煙突に登ってるアル」
「あのバカ。ナニやってンだ…」

銀時は頭を抱えた。

どうにか体勢を整えた桂がまた煙突を登り始めた。もうこれ以上放っておけないと思った銀時は大声を出した。

「オーイ。バカヅラ。てめェンなとこでナニやってンだ?」

桂が下を向いた。群れている人の中に銀時を見止めて言い返す。

「おお。おまえは銀時か。ミイラ男かと思ったぞ。というかバカヅラじゃない。とりっくおあとりーとだ」
「ハイィィ? バカがなにバカな事言ってンだ。いいから降りて来い。不法侵入でとっ捕まるぞ」
「いいや。それは聞けぬ。俺はこの菓子を子供に届ける義務があるのだ」

そう言うとまた煙突を登り出す。

「銀ちゃん。ヅラのコスってなんだかサンタクロースみたい。ハロウィンとクリスマスを間違ってるんじゃないアルか?」

そう言えば赤い帽子に赤い上下の服白い袋はサンタクロースの定番の格好だ。

「あのバカどこまでバカなんだ」

新八かぼちゃ貸せと言ってかぼちゃを一個受け取った。そして狙いを定めてぶん投げた。かぼちゃは見事に桂の赤い帽子をかぶった頭に当たり、ぐらっと体が傾いた。そのままひゅーっと落ちてくる。見ていた人々が悲鳴を上げた。銀時は脱兎のごとく走り場所を移動すると身構えた。落ちてきた桂をがっと腕で抱えた。

「ふェー。ナイスタイミング。俺ってナニをやらせても上手ェよな」

上手く桂をキャッチできた銀時はほうと溜息をついた。

「オイ。バカヅラ。起きろ。気ィ失った振りしてンじゃねェ。わかってンだぞ」

声をかけるとばれたかと言って桂が目を開けた。

「ヅラァ。だいじょぶアルか? かぼちゃで頭おかしくなってないアルか? いやいやおまえの頭は既におかしかったアル」
「何をやってたんですか桂さん。銭湯の煙突をそんな格好で登るなんて正気の沙汰じゃありませんよ」

神楽と新八も口々に言う。

「さーってっと。ヅラ君ヅラ君。ナニをやってたのか説明してもらいましょうかね」

自分で立てと桂を放り出した銀時が腰に腕を当てて仁王立ちになった。ヅラじゃない桂だと言いながらも罰の悪そうな顔をする。

「わかった。わかった。おまえたちに心配をかけてしまったのだな。それは謝る。だからそんなに恐い顔をするな」

桂はぼそぼそと言った。

「こんな時にオモシロイ顔するヤツなんていねェよバカヤロー。下手すると本当に警察にしょっ引かれるかもしれなかったンだぞ。ンで季節外れのサンタでナニやってたんだよ」

それを聞いて桂が目をぱちぱちさせた。

「ハロウィンパーティーに参加していたのだぞ。サンタクロースのコスプレをするのは当たり前ではないか」

ああ~と銀時は額に手をやった。やっぱりこいつはハロウィンの意味を間違えている。

「あのなあ。ヅラ。ハロウィンてのはクリスマスじゃねェンだからサンタコスはしねェんだよ。ハロウィンにするのはオバケの格好だ」
「な、なんと…?」
「ナンデスカ? その絵に書いたようなガーンって顔は」
「そんな…。そんな…。サンタクロースはハロウィンには関係なかったとは…。全く知らなんだ」

ヅラ誰でも間違いはあるアルよ。そうですよ桂さん。ちょっと早いサンタクロースだっただけですよ。と神楽と新八が慰めている。

「つーかさつーかさ。手に持ってる箱ってナニ? もしかしてクリスマス的なアレ?」
「中身はケーキだ。クリスマスには定番の物だ」
「っておめェケーキつまみ食いしただろ。なんだよ顔についてるこの白いのは?」

そう言って桂の頬に点々とついている白いクリーム状の物を指で擦ってそれをぺろりと舐めた。

「やっぱ甘ェ。ケーキのクリームだな。プレゼントしようと思ってたケーキをつまみ食いするたァてめェどういう了見だ」
「心外なことを言う。俺がつまみ食いなどするか。これはさっきバランスを崩したときに、ケーキの箱が開いてその中に顔を突っ込んでしまったのだ」

桂の顔についているクリームをさも当然のように舐めた銀時を見て、子供たちが引いているのも構わず二人は言い合いを続けている。

「ケーキ見せてみろ」

桂がずっと片手に乗せている箱を引っ手繰った。箱を開けて見ると案の定ケーキは潰れていた。

「こんなのプレゼントするつもりだったのかよ。こんな潰れたヤツを?」
「ううむ。菓子屋で買った時には綺麗な形をしていたのだがな。やはりさっき顔を突っ込んだのが良くなかった」
「やはりじゃねーだろ。顔突っ込んだから潰れたんだろ。当たり前のことなに今更言ってンだよ」

言い合う大人二人に新八と神楽は首を振った。もう帰ろう神楽ちゃん。そうアルな。コイツらはここに置いとくヨロシ。魔女とふきでものは二人を置いて、いろいろもらった菓子をぶらさげながら万事屋へ帰って行った。

「だいたいなあ。ハロウィンは子供が家々を回って菓子をもらうイベントだ。サンタがケーキをプレゼントするんじゃねーんだよ」
「菓子をやるのは同じではないか」
「ちげーッたらちげーッッッ!! ハロウィンとクリスマスは別物だからね。全然違う物だからね。なんでそれがわかんねェんだよバカヅラ」
「バカヅラじゃない。桂だ。というか今はサンタクロースだ。邪魔をするな銀時。俺はこのケーキをあの煙突の下で待っている子供に届けなければならないのだ」

言うが早いか桂はさっさと歩き出す。

「ちょォッとまったァッッッ!!」

銀時は襟を後ろからつかんで引きとめた。

「なっなにをする銀時…。苦しいではないか…」

襟を引っ張られて首がしまった桂が途切れ途切れに文句を言う。

「あんなあヅラよォ。煙突の下にはケーキを待ってる子供なんていないぜ。煙突の下にあるのはボイラー室だ」

桂が目を瞠る。

「だから言っただろ。クリスマスでサンタなのはまだ二ヶ月先。今日はハロウィンなの。オバケのカッコをして菓子をもらって回る日なの」
「そうなのか…。おまえがそこまで言うのだからそうなのだな…」

しょんぼりと項垂れる桂。

「そんなにガックリするなよヅラ。今から俺ンち行こうぜ。そのケーキ俺にくれよ。俺に食わせてよ」
「俺の顔が突っ込んだケーキだぞ。それでも平気なのか?」

半分不恰好に潰れているが、苺も生クリームも乗っている。この際ケーキが食えるならなんでも良い。それに桂の顔が触れたくらい今更どうってこともない。

「へーきへーき。銀サンはそんなこと気にするようなちっさな男じゃありませんよー」

小首を傾げて考えていた桂がぽつりと言った。

「要するにケーキが食えればなんでも良いということだな」
「ちょっおまっ。なんてこと言うワケ? 行き場所のなくなったケーキが勿体無いから俺が食ってやろうって言ってるのに」
「まあ。そういうことにしておいてやろう」
「ナニ? そのわかってますよ的な言い方。だいたいおめェなんで大江戸銭湯の煙突登ってたんだよ」
「サンタクロースは煙突からやってくるであろう。したがかぶき町には煙突のある家がなくてな。見つけたのが大江戸銭湯の煙突だったのだ」
「バッカじゃねェのてめェ。ホントにバッカじゃねェの。そうだてめェかぼちゃ返せ」
「馬鹿は貴様だ。俺はかぼちゃなど盗っておらん」

二人はいまだに言い合いをしていた。





かぶき町一番街の入り口に二つの人影があった。

「へええ~。本当にオバケの格好をしてるんだね。ハロウィンてのは変わったお祭りだ」
「地球人ってのは酔狂なことが好きなんだよ」

神楽の兄の神威とその腹心、阿伏兎だ。二人とも吸血鬼のコスチュームを着ていた。阿伏兎に至っては棺桶を引きずっている。

「楽しそうでいいじゃない。話を聞いて駆けつけて良かった。こんなおもしろそうな祭りに出会えるなんて」

神威は嬉しそうに言った。

「オイオイ。変なこと考えてんじゃねェだろうなこのすっとこどっこい。ここで暴れるなよ。喧嘩売るなよ。ンなことしたら上の連中の耳に入ってまためんどくせーことになるからな」

「嫌だな~。心配性なんだから阿伏兎は。俺がそんなことするはずないじゃない。お祭りをぶち壊すようなことはしないよ。第一ここにはお忍びで来てるんだから。仕事じゃないんだから」
「お忍びで来てるんだから余計に余計なことをするんじゃねェってこった」
「はいはい。わかってるよ副団長」

物分り良く答えた神威の目に妖しい光が宿っているのを見逃さなかった。

「とにかく大人しくしててくれよ団長」
「何度も言わなくてもわかってる。何もしないよ」

狼男やフランケンシュタイン、ドラキュラや魔女、ミイラ男やゾンビの格好をして闊歩する人々を眺めた。目の所に穴を開けた敷布をかぶった子供がはしゃいでいる。それらを物珍しげに見やる神威。

「やっぱりおもしろいね。侍の星って」

きゅうっと神威の唇が吊りあがる。

「おもしろいっつーかやっぱ酔狂なんじゃねえか? 夜兎にはこんなモンないからな」

二人は人ごみに紛れて歩き出した。

宵の口のかぶき町は人々で溢れますます賑わっていた。





実際のフィギュアと少々変えてあります。ラインアップされていない人も出ていますので悪しからず。




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